第11回 ドイツ : ベルリン編

世界を旅すると、よく会う国籍の人達がいる。もちろん、行く場所によって異なるだろうが、個人的に最も会う確率が高い人たちはドイツ人だ。彼らは年に少なくても5週間は休暇が与えられるので、長期旅行に行きやすい人たちということも理由の一端ではある。
ヨーロッパでは「ビールとビーチがあるところに、ドイツ人あり」と揶揄されるくらい、彼らは至る所に出没する。
ブラジルでもスリランカでも、シベリア鉄道の中でも彼らに会った。たいていは気のいい人達だ。日本人とドイツ人は気が合うと言うが、それは何も第二次世界大戦の同盟関係によるものではなく、単純に性格的に似ているところが多いからだろうと思う。
ベルリンに行く前には何も期待していなかったが、予想外に素晴らしい街だった。街全体がアートで溢れており、また移民に寛容な政策のおかげで近隣諸国から移民が流れ込み、コスモポリタンな雰囲気を醸し出している。
ベルリンで世話をしてくれたのは、ラトビア人のカップルだったが、彼らはドイツ語が一切話せなかった。人口200万人強の小国ラトビアからベルリンに移り住んで1年くらいとのことだったが、英語だけの生活でも特に不自由を感じていないようだった。
写真家とアーティストのカップルだったが、ベルリンでの生活を満喫していたおり、ベルリンは特にアーティストたちにとってはとても住みやすく、毎日がエキサイティングと言っていた。
ナチスの暗黒の歴史に対して罪悪感を感じているドイツ人たちは、移民に対して開放的な政策を打ち出している。そのなかでもベルリンはナチスの時代でも、その政策に反対する人たちが多かったので、元々自由な気質を好む土壌があるのだろう。
ベルリンにおいては、ナイトクラブは語らざるを得ない重要な文化的な要素だ。彼らに連れられて色々なクラブをはしごしたが、どのクラブにも三十代、四十代の人たちが多くおり、すでに文化として根付いているのだなと思った。カナダのモントリオール、ロンドンのクラブもそうだったが、社会的な交流の場としてナイトクラブが位置しているのだろう。そこが日本と大きく違うところだ。
日本のサラリーマンのようにキャバクラでストレスを発散させるよりは、よほど健康的な営みだと思う。ヨーロッパが文化的に成熟しているなと思うのは、みんな人生の楽しみ方を知っていることだ。彼らは特になんの束縛も受けず、まずは自分たちのやりたいことを追求する。自分のことは自分が一番よく知っているので、ある意味最も効率的な人生の楽しみ方と言えるが、それがなぜか日本のような国ではなかなか難しい。
ベルリンには一週間滞在したが、すっかり気に入ってしまい、住みたい街のひとつとなった。今回は真冬のベルリンを体験したので、次回は夏のベルリンを体験し、ヨーロッパの夏を満喫するつもりだ。

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