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HOME > 英語とアスリート達 > vol.18-2 瀧本 誠

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Athletes and English 英語とアスリート達
瀧本 誠
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vol.18-2 | vol.18-1(前回の記事)

「負けてもいいから」----。2000年、シドニーオリンピックで優勝。監督のこの一言が、柔道をやめようかとさえ思いつめていた柔道家に金メダルをもたらした。柔道81キロ級の頂点を極めた瀧本誠選手に何度も訪れる人生の転機。苦しみのなかから生まれた哲学とは何か?シドニーまでの道のりと、フランス留学や総合格闘技への新たな挑戦を語る。

取材・文  白石 あづさ
撮影  出町  公宏
インタビュー
ホームシックになるヒマはなし。柔道漬けの日々でした
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 今は、吉田道場で一日3時間の練習をこなしながら、次の試合に向けてのトレーニングを積んでいます。たまに道場で吉田さんと一緒に、子供たちに柔道を教えることがありますよ。実は、小さい子の指導は苦手なんです(笑)。子供は飲み込みが早いけど、なにせ、飽きっぽいからなぁ…。子供たちには、「強くなる」ということだけでなく、柔道を通して、目上の人への接し方や礼儀も身に着けて欲しいですね。

 道場の子供たちを見ていると、自分が柔道を始めたころを思い出します。小学校1年生のとき、はじめて胴着をつけたときは、とても緊張しました。それでも、「一度始めたら、最後までやりなさい」との親のいいつけを守り、当時は苦しくても、やめようとは思いませんでした。中学・高校は全寮制でしたから、朝から晩まで練習スケジュールがびっちり。唯一休みの日曜の午後、昼寝するのがなによりも楽しみでしたね。ホームシックなんてかかる暇もなく、とにかく朝から晩まで、ひたすら柔道をやっていたんです。

負けてもいいなら、楽しもう。気持ちが切り替わったら、ラクになった
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 大人になってから、本気でやめたいと思ったことがあります。大学生のとき、20歳を超えて成人したというのに、親に仕送りしてもらうのがすごく悪い気がして…。まぁ、学生だからしょうがないといえばしょうがないんですけど、早く働いて自分の力で生活したかった。

 もう一回は、オリンピックの選考前。大学を卒業し、企業のクラブに入って活動していたのですが、「いくら練習してもこれ以上、強くならない」という限界を自分で作っていたんですね。その上、国際大会で日の丸つけて勝つことを義務づけられる。それで、たまに負けると文句を言われる。だんだんそれがストレスになり、柔道が嫌いになっていく。「首にするならしろよ!」と、会社に行かず、3ヶ月間くらいブラブラしてました。

 でも、当時の監督が、「負けてもいいよ、瀧本。負けていもいいから、オリンピックの予選まではがんばれ」と言ってくれたんです。それで、「負けてもいいなら、マイペースで楽しんでやるか」と、一気に気持ちが切り替わった。それで心から楽しんで試合に臨んだら、金メダルが転がってきたんです。

やりたいことは山のように。マイペースに楽しんで挑戦したい
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 柔道漬けだった日々とは違って、時間に余裕のある今は、これまでやれなかった新しいことを始めています。僕は、まだアメリカに行ったことがないんですよ。だから今度は、「みんなと一緒は…」と思いつつも、英語がペラペラになりたいと、テレビやラジオの英会話講座をテキスト片手に聞いています。

 初挑戦といえば、先日、通関士の試験を受けてきました。なぜかとよく聞かれるんですが、通関士を選んだのは、資格一覧を見て、実務経験なしでも受けられると分ったから。それに、海外遠征先で「これ輸入できたらな」と思うことがよくあるんですよ。とはいえ、けっこう勉強したのに、あまりにも試験が難しかった。試験会場では、僕意外、みんな頭良さそうなんです。試験結果はもう出ているはずだけど、恐しくて見ていません(笑)。

 もうひとつ、チャレンジしているのは、バイク。今、教習所に通っているんですが、中型・大型免許をまとめて取得中です。けっこうスピードがあって怖いんですよね。合格してもバイクは買う予定がないんですけど、通関士よりは簡単に受かりそうです。

 休日は、1歳半になる娘と一緒にテレビを見たり、遊んだり。子育てはしっかりやっていますよ。オシメを変えるのも手慣れたものです。柔道させるかって?絶対、させません!ほんとに自分が苦しかったから(笑)。まあ、「どうしてもやりたい」と言えば別ですが、できれば音楽家になってほしい。姉がトランペットをやっていて、かっこいいんですよ。僕も武田真治さんみたいに、サックスを吹いてみたいですね。

 まだまだ、やりたいことはたくさんあります。何をするのも、うまい下手や勝ち負けにこだわらず、楽しんで挑戦していきたい。そして自分の世界を広げていけたら。そんな想いを娘にも、道場の子たちにも伝えていきたいですね。

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Message-最後に一言!

「take it easy !」

「気楽にいこうよ」

「『柔道一直線』とか『熱血』とか好きじゃないんです。うーん、熱血でもいいんですけど…表に出すのはかっこ悪くて(笑)」と、歯に衣を着せない本音トーク炸裂の瀧本選手。一見、クールでぶっきらぼうに見えますが、真面目な努力家で内に秘める闘志はかなりのもの。実はとても熱いひとなのかもしれません。そんな瀧本選手の好きな言葉は、「気楽にいこうよ」。これは、“ラクして”という意味ではなく、「一途にやれるだけやってみよう。その上で競技を楽しもうよ」という、紆余曲折の末、金メダリストを手にした柔道家からのメッセージです。

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プロフィール
瀧本誠

瀧本 誠(たきもと・まこと)

シドニーオリンピック柔道81kg級金メダリスト。1974年、茨城県岩井市生まれ。6歳で柔道を始め、柔道の名門「講道学舎」に入門するため中学から上京。大学在学時に全日本学生体重別選手権大会で優勝し、99年、2000年に全日本選抜柔道体重別選手権大会81kg級優勝後、ドイツ国際大会優勝。シドニーオリンピックでは内股、袖釣り込み腰で金メダルを獲得。その後、1年半のフランス留学を経て、2004年から「PRIDE」に参戦。柔道家の吉田秀彦と共に「吉田道場」の師範としても活躍している。

→ 瀧本  誠  オフィシャルサイト
→ 吉田道場  オフィシャルサイト

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