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HOME > 英語とアスリート達 > vol.17-2 別府史之

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Athletes and English 英語とアスリート達
別府史之
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vol.17-2 | vol.17-1(前回の記事)

100年以上の歴史があるツール・ド・フランス。古い街の石畳を駆け抜け、急勾配の山を越え1ヶ月かけて行われる世界で一番有名なロードレース。ゴールである凱旋門を目指す熾烈な戦いに世界中が熱狂する。いつかあの凱旋門のゴールを一番でくぐりたい -----。その夢を叶えるため、18歳でフランスに渡った「フミ」こと別府史之選手。はじめての海外生活、さまざまな葛藤を乗り越え、2005年、世界最強ともいわれるディスカバリーチャンネル・プロサイクリングチームへ。夢への第一歩を踏み出した別府選手のレースにかける情熱と「これから」を追う。

取材・文  白石 あづさ
撮影  出町  公宏
インタビュー
日本人もプロとして世界で活躍できる。日の丸ジャージは、そのアピールなんです
photo

 僕のいたアマチュアチームは、数々の優勝をさらった強豪チームで、プロ並みの実力のある選手ばかり。ヨーロッパ各地のレースで結果を出し、プロからの誘いを待つ。22歳までに誘いがないと、プロとしてやっていくのは難しいと言われています。けれども、プロになりたい。フランスまで来たからには絶対、プロになりたい。……しかし、ある日、こんなことを言われてしまったんです。「フミはいい選手なんだけど、日本人だからプロに採用するのは難しい」と。

 人種差別というより、日本人が海外のトッププロチームで活躍した前例がない。どんなメンタリティーを持っているか、チームとうまくできるのか、どう練習をさせたら伸びるのか。何もデータがない。どうやって扱っていいのか分らない。それならば、よく知っている地元の選手を採用したい、と。

 大ショックでした。アマチュアの世界では、それなりに名前も知られ、実績も積んできたのに……と、どうにもできないむなしさが押し寄せてくる反面、「自分は日本人なんだ」という強い自覚が生まれました。レースで優勝すると、自転車競技の場合、チャンピオンジャージを着るでしょう。オレはチャンピオンなんだというアピールです。

 ですから、僕が日本の日の丸をデザインしたジャージを着るのは、「日本人である・日本人もプロとして活躍できる」という世界に向けてのアピールなんです。とはいえ、日本の国をしょって走るのではなく、日本のロードレーサーの代表として走ります。けれども、「あの日本人」ではなく、「ああ、あれはフミだ。がんばっているな」と思ってもらえたら嬉しいですね。そして、日本の人にも、もっと自転車競技に興味を持ってほしい。さらには自分の後を追って、世界で活躍するプロを目指す日本人選手が出てきてほしいのです。

今年は僕にとっての中間テストみたいな年。夢への第一歩。これから僕ははじまるのです
日本チャンピオンタイトルを獲得したフミは日本チャンピオンジャージを着る。Photo: CYCLINGTIME.com / Makoto AYANO

 「日本人でもプロになれる。見てくれる人はきっといる」。くじけそうになる気持ちを必死で押さえて、レースをこなしていたある日、世界最強ともいわれるディスカバリーチャンネルから、誘いの電話がありました。それは、もう飛び上がって大喜び。もちろん、ミッシェルたちに報告に行くと、抱きついて大騒ぎでした。

 なかなか日本では理解してもらえないかもしれませんが、プロは完走することが目的ではありません。一見、ロードレースでは、個々で好きに走っているように見えますが、実は団体競技。チームには優勝するためのエースがいて、そのエースを優勝へと導くためのアシストがいます。エースが力を最大限発揮できるように、エースの風除けになって前を走ったり、ほかのチームの選手を牽制したりします。いかにチームを優勝させるために貢献、つまり“仕事”ができるか、それがプロです。

 今年は僕にとって、今までとは違った年になると思う。ここ1〜2年で積み上げてきたことを問われる中間テストのような年かもしれません。いい“仕事”をしたい。そして、エースのアシストから、アシストされるエースになりたい。いつの日か、小さい頃夢見ていた「ツール・ド・フランス」のゴールを誰の背中を見ることなく くぐりたい。

 ----世界最強チームの一員になれたこと。これはひとつの通過点であって、目的でも、ゴールでもありません。夢への第一歩。日本で僕のことを応援してくれる人たちの気持ちに応えるためにも、精一杯、走り続けていく。これから僕は始まるのです。

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Message-最後に一言!

「やればできる」

快活に自転車レースへの熱い思いを語ってくれる別府さん。忙しい練習の合間をぬってインタビューや講演会をこなしている理由を尋ねると、「ときには100キロのスピードで走ったり、街の石畳やでこぼこの山道を登ったり、さまざまな駆け引きがあるロードレースの魅力をもっと日本に紹介したいから。それと、学校の講演に行くのは、僕が小さい頃、兄にさまざまな情報をもらったように、彼らにも早い段階でいろいろな情報を伝えたいからです。でも昔は話すの大の苦手だったんですよ。え?信じられないって? 僕は、苦手なことをあえて選ぶ。自分に逃げ道をつくらないんです。それで演劇部に入ったこともあるんですよ」と笑顔で答えてくれました。
そんな別府さんが好きな言葉は、“やればできる”。「ありきたりかもしれませんが何事もできると思わなければ、実現しませんから」

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プロフィール
別府史之

別府史之(べっぷ・ふみゆき)

ロードレーサー。1983年4月10日生まれ。神奈川県茅ヶ崎市出身。
小学2年でMTBレースに初参加。小学5年で初めてロードレースに挑戦し、初優勝を飾る。高校では自転車競技部に所属し、高校選抜では1・2年生と2年連続優勝、3年時には全日本チャンピオンをはじめ、アジアチャンピオンのタイトルを獲得するなど、各地の大会で快進撃を続ける。卒業後、フランスに渡る。プロの登竜門といわれるステージレース「ジロ・デッラ・ヴァッレ・ダ・アオスタ」で区間優勝し、2005年ディスカバリーチャンネルプロサイクリングチームへ移籍。個人タイムトライアルで好成績を収め、注目を集めている。2006年は個人ロードおよび個人タイムトライアルの全日本選手権を制して、ともに日本チャンピオンのタイトルを獲得。

→ 別府史之  オフィシャルサイト
→ CYCLINGTIME.com


<取材にご協力いただいたお店>

カフェ「CHEZ MADU (シェ・マディ)」

テレビ朝日新本社ビルのパブリックスペースに位置するおしゃれなカフェ。
オリジナルのケーキ・焼き菓子がおすすめです。
広々とした明るい吹き抜けの空間にゆったりとしたソファを配置していて、六本木ヒルズの庭園を眺めながらくつろぐことができます。

電話: 03-6406-2188
営業時間: 10:00〜20:30(LO 20:00) 無休
URL: http://www.tv-asahi.co.jp/hq/cafe/

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