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異文化英語

第177回 便利な「〜さん」; 英語はMr, Ms, Miss,などいろいろ

 私たちが日ごろ人の名前を呼ぶのに用いる「〜さん」はとても便利です。「亀岡さん」、「鶴首」さん、あるいは、「かよこさん」、「あきらさん」、など、男女に関わらず、また、姓にも名にも「さん」をつけられます。ところが、英米人の場合は、Mr Minton(ミントン氏)、Mr John Ingram、Mrs. Smith(スミス夫人)、あるいは、Ms.Jonsのように、敬称は姓に、あるいは、フルネームの姓名に付けます。下の名前、つまり、TomとかAnnにはこういう敬称は普通つけません。また、日本ではすべて「〜さん」で済むのに、英米では男女の別、あるいは、未婚・既婚の別によって敬称が異なります。Mr、あるいは、Mr.(ピリオドがあるのは主にイギリス用法)は男性の姓の前につけ、「〜さん」、「様」、「殿」などに相当します。また、学校で生徒が「〜先生」と呼びかける場合は、直訳式の'Minton Teacher.'ではなく、先生が男性の場合はMrを用い、Mr minton(ミントン先生)のように言います。Mrはもともと'maister' (主人、先生[=master])の省略で、複数形はMessrs [サズ]です。

 女性の場合は、未婚者はMissで、既婚者はMrsはご存知の通りですが、最近は既婚・未婚にかかわらずMs [ミズ]が好まれます。ある辞書には次のように定義されています。

Ms is used, especially in written English, before a woman's name when you are speaking to her or referring to her. If you use Ms, you are not specifying if the woman is married or not.(コウビルド英英辞典)
(Msを用いるのは、特に書かれた英語の場合で、相手の女性の名前の前に付けます。Msを用いると、その女性が既婚か未婚かを問題にしていません。)

 「特に書かれた英語の場合」とありますが、話し言葉でもよく耳にします。

 Msは1950年頃からMrsとMissを一緒にしたものとして用いられ始め、1970年代には国連でも正式敬称として採用されています。手紙を書いたりメールで問い合わせするときなど、Msは便利です。以前はその女性が結婚しているのかそうでないのかが分からないと、敬称に困ったものでした。それにしても、英米では、ふだんは「ジョン」とか「アン」のようにfirst nameで呼び合います。フレンドリーですね。会社でも上司を「トム」などのように呼んでいます。日本だったら上司を「和夫」とか「よねこ」なんて呼んだら怒られますよね。すくなくとも「さん」くらい付けないと。

[ワンポイント英語表現]
Ms is a title used before the surname or full name of any woman regardless of her marital status.(オックスフォード英英辞典)
(ミズという敬称は、女性の姓(名字)、ないしは、フルネームの前に用いられ、既婚・未婚に関わりない。)



御園和夫先生

Profile
御園和夫

関東学院大学名誉教授、日本実践英語音声学会顧問。英語学、英語音声学、英語教授法専攻。特に英語の音声教育に力を注いでいる。英国レディング大学、米国UCLA、オーストラリア、クイーンズランド大学などで研修・留学。
長年にわたりテレビ・ラジオで活躍し、「百万人の英語」や「旺文社大学受験ラジオ講座」など、数々の英語番組を担当。
著書に、『コミュニケーション主体の英語音声学』(和広出版)、『耳から楽しむ英語ジョーク:聴くユーモア』(CD付)旺文社、『成功する英語表現講座』(南雲堂)、『場面別英会話』(旺文社)、他多数

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