昔と違って、日本では最近ずいぶんお役所も親切になってきました。それでもなんとなく「お役所仕事」というイメージは残っています。英語ではofficialismなどと訳されることがありますが、red
tapeという表現も使われます。ある新聞(International Herald Tribune)にこんな記事が出ていました。
Ever since the terrorist attacks of Sept. 11, 2001, getting an American visa
has been a nightmare of red tape, and the hassle has deterred many foreign student
applicants.
(2001年9月11日のテロ攻撃以来、アメリカのビザ取得はお役所仕事で惨憺(さんたん)たる状況になっており、この困った状態が多くの外国人学生のビザ希望者の妨げとなっている。)
ま、アメリカ側としては、テロの警戒で、たとえ学生といえども、ビザの発給には慎重を期しているのでしょうが、それにしても、勉強をしたいという学生がお役所風の仕事で機会を奪われてしまうというのは、お気の毒です。
Red tape、つまり、「赤いひも」とは、18世紀初めにイギリスで公文書を束ねるのに使われた赤いひもに由来しています。こんなところから「官僚的形式主義;お役所流」という意味でこの表現が用いられるようになった次第です。この言い方から派生して、redtapism(官僚主義)、redtapist、redtaper (官僚主義者;形式主義者)、などの言い方が出てきています。「官僚主義をやめる」という意味で,cut
rd tapeという表現があります。
おそらくどこの国でもある種の官僚主義は結構残っているようです。いいかげんに官僚に、いえ、完了にしてほしいですね、形式主義は。
[ワンポイント英語表現]
We used to run into all kinds of red tape.(昔はよくさまざまな官僚主義に悩まされたものです。)

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御園和夫
関東学院大学名誉教授、日本実践英語音声学会顧問。英語学、英語音声学、英語教授法専攻。特に英語の音声教育に力を注いでいる。英国レディング大学、米国UCLA、オーストラリア、クイーンズランド大学などで研修・留学。言語学博士。
長年にわたりテレビ・ラジオで活躍し、「百万人の英語」や「旺文社大学受験ラジオ講座」など、数々の英語番組を担当。著書に、『コミュニケーション主体の英語音声学』(和広出版)、『英語発音指導マニュアル』(CD付)編集主幹、北星堂、『聴順直脳トレーニング』(CD付)IBC出版、『耳から楽しむ英語ジョーク:聴くユーモア』(CD付)旺文社、『成功する英語表現講座』(南雲堂)、『場面別英会話』(旺文社)、他多数。
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