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HOME > 英語とアスリート達 > vol.31 松沢聖佳

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Athletes and English 英語とアスリート達
松沢聖佳
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vol.31 あきらめず、こだわり抜いて

滑りのテクニックを競う全日本スキー技術選手権で、前人未到の女子総合8連覇。基礎スキーの頂点に立つ松沢にとって、ここまでの歩みは「いかに自分を磨いていくか」という戦いだった。直接的に人と競い合うことに馴染めず、スピードへの恐怖心もあって、自らの資質を開放し切れなかったレース時代。しかし、テクニックへの徹底的なこだわりが求められる技術選の舞台が、心の奥底に眠っていた“負けず嫌い”な資質を引き出してくれた。「レース時代はこんな人じゃなかったのに、ってよく思います」と笑う彼女は、いつしか誰よりも、高みを目指すことに執着し続けられる人間になっていた。

取材・文 猪狩真一/写真 出町公宏
インタビュー
規制がなくなって薄れたスピードへの恐怖心

photo アルペンスキーというと、まず単純にタイムを競うレースがあって、モーグルのようにターンの質などの採点とタイムを組み合わせたものもあるんですけど、私たちの競技=基礎スキーは採点のみなんです。技術選手権では、3日から4日間の日程で、大回りや小回り、不整地種目などを組み合わせた10種目を戦って、その総合得点で、あらゆる状況に対応できるスキーヤーは誰かを競う。スピード感のあるなかで高い技術を見せた人が一番上手い、ということになるんです。

 レース時代はスピードがちょっと怖くて、旗門で減速しながらターンしてたのは分かってました。それじゃ速いわけないですよね(笑)。でも技術選は滑るコートだけが決まっていて、フリー滑降のような種目では、自分の想い描いたターンでゴールすればいい。そうして規制がなくなると、スピードへの恐怖心もなくなってきた。技術選という種目が、気持ち的にも性格的にも合ってたのかなというのと、自分は技術を研究することが好きなんだなということに気付いたんです。

 単純に言えば、バン、バンと雪面にスキーを当てても、ショートターンにはなります。でもそれを、いかにスキーを滑らせて、雪の上で動かして持ってくるか。その巧みさ、正確さが見せどころなので、ちょっとコアな大会なんですね(笑)。選手同士は、この人のここが素晴らしいという微妙な差をよく分かってますけど。

 技術選にデビューした年といまの滑りでは、見た目も全然違っていると思います。毎年自分のなかで課題があって、それをクリアするためにどうするかということを続けてやってきたら、自然とスタンスの広さが変わったり、身体の傾く角度が変わったり。それと、採点競技なので、3年経ったらジャッジ(採点者)が飽きるって言われてるんですね。上手くても「また同じだね」と。だから男子も女子も、私がするまでは3連覇した人がいなかった。私にとってもそれが大きな壁で、そこを超えたら、気付くと8連覇まで来ていたという感じですね。

すぐにできなくて当たり前

photo 小学校のときから、スキーで海外への遠征や合宿に連れていってもらってたんですが、コーチがいたりしたこともあって、全然英語を話す環境にはなかったんです。そんな調子で大学まで来てしまって、私には英語はあまり必要ないのかなと。

 でも、技術選を始めて、アトミックというオーストリアのブランドのスキーを履き始めてから、その本社に行ったり、テストに行ったりするようになると、いよいよ困ってきて(笑)。自分がいい板だと思ってもそれが伝えられなかったり、聞きたいことがあっても聞けなかったり。

 それで去年の夏から、地元で英語の先生をしている知り合いの方と週1回、テキストの宿題をして、一緒に会話をするということを始めました。まだ本当にレベルが低いんですけど、外国の方と会ったとき、あいさつが自然に出るようになったのは嬉しかったですね。英語を発することに緊張感がなくなったような気がして。

 私はすべてにおいて、できない癖に完璧主義なところがあるのかもしれません。単語をどう組み合わせればいいのか、接続詞は何を入れたらいいのかと考えて緊張するともうダメで、固まってしまうところがあって(笑)。でもいま、アメリカ人の方が日本語を修得するときにどんなことを疑問に感じたか、という本を見つけて読んでるんですけど、日本語ではどうしてこういう言い回しをするのかとか理解しにくいことがたくさんあって、自然に言葉が口から出てくるようになるまでには時間がかかる、といったことが書いてあったんです。

 書いてるのは日本人向けに英会話の先生をしている人なんですが、そういう先生でもうまくいかないんだから、私なんかとんでもないなと(笑)。いい意味でのあきらめがつきました。すぐに分かるのは無理なんだと。だから、自分には向いてないとすぐにあきらめるんじゃなく、ちょっとずつでも自分のなかに入ってくればいいんだという気持ちで、気長にやっていこうと思ってます。

人が見えると自分のこともよく見える

photo 冬場は、上達につながるポイントやスキーの悩みなどについてアドバイスするレッスン活動をしています。もともと自分は先生タイプでは全然なくて、最初はそれに慣れずに違和感を感じてたんですが、試行錯誤してやっているうちに、人が見えると自分もよく見えるということが分かってきました。

 この人はこうなってるからうまくいかない、ということが見えると、自分の課題に対しても解決策が分かるようになる。そうして自分が次のステップに進むと、今度はアドバイスするときに、プラスアルファのことが言えるようになる。そのことが分かってからは、ストレスもなくなってきましたね。

 私はスキーヤーのなかでも、それほど器用な方ではないんです。これだけ勝っていると、すごく才能があるように思われるかもしれませんけど、自分で才能がないと思う部分、センスがないと思う部分もあって。そこを努力でカバーして、普段から気にしながら身につけていくということをやってきたので、うまくできない人の気持ちも少し分かるのかなあという気がしてるんです。

 これからもできる限り、自分の可能性にチャレンジしていきたいと思っていますので、ぜひ、技術選での滑りを観に来て欲しいですね。


Message-最後に一言!

Never give up!

もう自分そのもの、って感じがする言葉ですね。いつも、去年の冬にできなかったこと、やりたかったことをずっと引きずって次のシーズンに入るので。相当ネチッとしてるかもしれませんけど(笑)、それをクリアしたらまた上手くなれるかもしれないという想いがあるんですよね。
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プロフィール
photo

松沢聖佳(まつざわ・せいか)
スキーヤー。1977年11月4日生まれ、長野県出身。旧姓・嶺村。スキースクールで指導していた父親の影響で幼い頃からスキーに親しみ、地元のジュニアクラブでアルペンレースを始める。しかし、スピードのみを争うタイムレースに適性を見出せず、大学4年のとき、滑りのテクニックの採点で競い合う基礎スキーに転身。2000年に全日本スキー技術選手権大会に初参戦し、02年に女子総合優勝を飾る。以降、直近の09年大会まで史上最長となる8連覇中。卓越したテクニックを持つナショナルデモンストレーター(インストラクターを指導する最上級のインストラクター)として、レッスンやトレーニング講習会など、さまざまな活動を行っている。

松沢聖佳 オフィシャルブログ

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