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HOME > 英語とアスリート達 > vol.23 尾川智子

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Athletes and English 英語とアスリート達
尾川智子
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vol.23 わずかな歩みでも、やり続ければ必ず道は開ける

道具を使わず、自らの手と足のみで身体を支え、剥き出しの岩肌を登っていくフリークライミング。大学でワンダーフォーゲル部に所属していたとき、国体の山岳競技に出場するためにメンバーを探していた女性に誘われたのが、クライミングとの出会いだった。困難であるがゆえの大きな達成感に魅入られ、一気にのめりこんでいったクライミングの世界。そしていま、女性初のプロクライマーとなった彼女は、プロスポーツとして下地が存在しないクライミングに、新たな風を吹き込もうとしている。

取材・文 猪狩真一
撮影 出町公宏
インタビュー
宇宙飛行士への憧れが山へとつながって

photo  子供の頃から宇宙飛行士になりたくて、ずっと理系の勉強をしてたんです。中学のときに富士山に登ったことがあったんですが、山の頂上から見る星空がすごくきれいで、宇宙に近づいた感じがしたんですね。山と宇宙って密接につながっているんだなって。それですごく山が好きになったんです。

 高校までは山岳系の部活がなかったので、大学に入ってからワンダーフォーゲル部に入って、山に登るようになりました。それから2年ぐらい経ったときに、ある女の子から国体の山岳競技のメンバーに入ってくれないかって誘われて。山岳競技は、山を走るトレイルランとフリークライミングとを組み合わせたものなんですけど、それがフリークライミングをやることになったきっかけでした。

 初めは無理矢理だったので、嫌でしょうがないし、怖い高いしで、国体が終わったらやめようと思ってました(笑)。でも、国体の予選が終わって、本番まで期間が空いたときに、クライミングの上手な先輩たちがイタリアに練習に行くというので、ついていったんです。もともと山を登りにスイスに行こうと思っていたので、彼らの練習が休みのときに連れていってもらうという約束で。ところが、イタリアで彼らの練習に参加してみると、彼らがウォーミングアップに使う、それ以上簡単なところはないというルートすら登れなかった。悔しくて、スイスに行かずに1か月間、ずっとそのウォーミングアップのルートを必死にやって。そして、日本に帰る前日にようやく登ることができたんです。

 そのときですね、フリークライミングにハマったのは。永遠にできないと思ってたものが、アリの歩幅じゃないですけど、ちょっとずつでも進んでいったらできるんだっていうことが実感できて。すごい達成感がありました。

会話のコツは、大きな声と、言葉に感情を込めること

photo 英語に興味を持ったのも、最初は宇宙飛行士がきっかけでした。宇宙飛行士になるなら、英語はベラベラじゃないとダメじゃないですか。だから中学のときから会話は意識はしてましたね。同じ理由で、大学ではロシア語も取ってました(笑)。

 大学では、いろんな世界が見たい、旅行がしたいっていう気持ちがすごくあって、会話を勉強したのも全部旅行先の現地でした。でも、クライミングのジムって、日本に住んでる外国人の人たちがよく来るんですよ。それで、彼らがジムをただで使わせてもらう代わりに、ジムに来ている日本人に英会話を教えてやってくれ、っていうことがあったりもしましたね。

 自分の英語が進歩したなあって一番感じるのは、いつもは「OK」で済ましてたものが、たまに「Sure!」って出たり(笑)、違う言葉に置き換えられたときですね。それと、簡単な言葉っていくつも意味があるじゃないですか。例えば、私は外国人からしたら背が小さいので、小さいのにクライミングがすごくできるなって意味で、「Crush!」って言われたりするんです。最初は意味が分からなかったんですけど、力を振り絞って力強く登ってるとか、そういうニュアンスみたいで。難しい言葉や長い単語ってひとつの意味しかなかったりしますけど、簡単な言葉ってたくさん意味があるから、それを覚えるだけでフレーズがバーッと広がりますよね。

 私なりの上達のコツは二つあるんですけど、ひとつは、大きい声でしゃべること。私は英語を話すとき、発音を意識しようとしてるんですけど、声だけ大きくて日本語英語っていう友達の方が通じたりするんですよ(笑)。確かに逆の立場だったら、ちょっと英語まじりの日本語でも、ごにょごにょとしゃべられるよりも、大きい声で話された方が「何?」ってちゃんと聴けるなあと。

 もうひとつは、自分が言っている言葉と感情を結びつけて表現することですね。アジアのX-GAMEで優勝したりすると、英語で5分、10分とインタビューされるんですけど、あとでテレビで見てみると、淡々としゃべってるんですよね。頭のなかで文法を考えたりすることに集中してるから、言葉では「嬉しいです」って言ってても淡々としてる。そうじゃなくて、嬉しかったら本当に嬉しそうにしゃべること、英語のニュアンスに感情を入れていくことが大事だなと。

 それを実践するようになったら、2〜3年前には「こいつあんまり英語しゃべれないよ」って言ってた海外の友達が、「トモコは英語しゃべれるから」って言うようになったんです。実際はそんなに変わってないと思うんですけど、しゃべれるって雰囲気が出たんでしょうね(笑)。こちらの感情が伝わって、しゃべってて楽しいって思えた方が、向こうもいろいろ教えてあげようって思ったりしますから。

自分の特徴に合った岩と傾斜を探して
photo

 いま、自分の人生のなかで一番難しい岩にチャレンジしてるんです。栃木の那須塩原にあるんですけど、世界のトップのレベルと同じ岩で、それが登れれば世界の女性で数本の指に入るという。登るまでに何年かかるか分かりませんけどね。

 人それぞれ得意不得意があって、私は傾斜の緩い岩(垂直に近い角度)よりも、傾斜のきつい岩(垂直より張り出している角度)が得意なんです。インドアでやるときは公平なので、人工で作った岩に一斉に登るんですけど、アウトドアでは、自分に合う岩、自分に合う傾斜を見つければいい。一番難しい岩も、自分に合うなと思って探し出したルートなんです。他人のいいところは盗めばいいですけど、あの人がこうして成功したからこうしなきゃいけないってことはクライミングにはないんです。

 いまはまだ、クライミングはビジネスとしては成り立っていないところもあります。でも、それができていけば、若い子たちもついてくると思うし、プロになりたいと思うユースの子たちも出てくるはず。私も、プロとして始めたばかりで、まだまだこれからですけど、そういう道が確立できたらなと思ってます。

Message-最後に一言!

「No pain, no gain.」

最初のイタリアでのクライミングもそうですけど、困難だからこそ、できたときに得られるものも大きいし、苦労があるからこそ楽しみもあるなあと。だからこの言葉は好きですね。対極のものがあるからこそ、全部がうまく成り立ってるような気がします。
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プロフィール
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尾川智子 (おがわ・ともこ)

プロクライマー。1978年生まれ、愛知県出身。宇宙飛行士になることを夢見て、早稲田大学理工学部に進学。ワンダーフォーゲル部で登山に親しむなかでクライミングに出会う。クライミングを始めて半年で出場した2000年の富山国体の山岳競技(トレイルラン+クライミング)は2位。その後、単身で世界を転戦し、ワールドカップや世界選手権の舞台を経験。03年にはAsian X-gameで初出場初優勝を遂げてアジアチャンピオンとなる(06年にも優勝)。07年より、クライミングのみで生計を立てる女性初のプロクライマーに。

→ 尾川智子のHEARTFUL BOULDERING

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