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Athletes and English 英語とアスリート達

Kojiro Shiraishi 白石康次郎
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vol.7
一度、港を出たら、広い海原にたったひとり。頼れるのは、風と自分の力だけ。そんな究極のヨットレースに挑み続けり海洋冒険家・白石康次郎。世界最年少で単独無寄港世界一周を成し遂げ、世界で最も厳しいヨットレースの一つ「アラウンド・アローン」に参戦。暴風雨や短い睡眠時間…と、過酷なレースを支えてくれるのは、ライバルであり、ときに大事な友人でもある世界のヨットマンたちとの熱い友情だった。

取材/構成/文 白石あづさ
インタビュー
カッターよりヨット!
ヨットとの最初の出会いは、高校の頃です。 鎌倉育ちで海を見て育ったからか、幼いころから、将来は世界の海をめぐる船乗りになろうと決めていました。それで機関士になるため、地元の水産高校の専攻科に入学。部活はもちろん舟艇部を選びましたが、大勢で力を合わせて漕ぐカッターレースより、先輩が遊びでやらせてくれた一人乗りヨットのほうが、 自由気ままで自分に合っていることを発見してしまったのです(笑)。
弟子入り志願
そんな頃、ちょうど高校2年生の時でしたか、ヨットの世界一周レースが始まって、日本人の多田雄幸さんという人が優勝したというニュースを耳にしました。船で世界一周は小さい頃からの憧れでしたから、さっそく弟子にしてもらおうと、日本酒の手土産を持って押しかけたら、なぜか弟子にしてくれたんです。
けれども、ヨットのことは何も教えてくれません。朝から晩まで、師匠の酒のおつまみを運んでばかり(笑)。そのかわり、多田さんの親友だった故植村直己さんなどたくさんの冒険家を紹介してくれました。その出会いが僕の世界観を大きくしてくれたんですね。誰からでも好かれていた多田さんは、人生を楽しむ達人でした。流しのタクシー運転手をしながら、家では絵を描き、ヨットの上ではひとりトランペットを吹く。芸術を愛した天性の自由人だったように思います。
師匠の遺志をついで
そんな人生を愛する多田さんが、世界一周のレース中、暴風雨によりヨットが大破し、漂流。何とか救助されたものの、立ち直ることが出来ず、自殺してしまったのです。僕はサポートとして多田さんを港で待っていましたが、ついにその姿を見ることができませんでした。
帰国して、多田さんのヨットを半年がかりで改良。彼の名前を取って“スピリット・オブ・ユーコー"と名前をつけました。3回目のチャレンジで、26歳のとき、無寄港世界一周に成功。きっと師匠も天国で祝い酒を飲んでくれたと思います。
一人海の上
一人きりの世界一周のあと、多田さんが優勝した世界一周レース「アラウンド・アローン」に挑戦しました。これは、地球をぐるりと約8カ月かけて4万3200キロを風の力だけで進むという世界で最も過酷なレース。6、7人乗り用の船をコツコツと1人用に直し、3カ月かけて、スタート地点のニューヨークへ自力で、移動させました。運送資金がないから、まずは地球半周しなくちゃならなかった。
そんなわけで、ニューヨークにたどりついたときは、すでに疲労困憊。おまけに、スタート直後に水漏れが発覚し、2時間おきにバケツで水をくみ出さねばならず、次の寄港地のロンドンまで生きた心地がしませんでした。
また、こんなこともありました。ヨットの横腹に、ドッカーンと何かがぶつかったことがあって、窓から、フジツボのついたブイのようなものが見えました。しかし、反対側の窓からはパタパタしているシッポが見えるじゃありませんか!僕のヨットはなんとクジラの上に乗っていたのです。そうかと思えば、暴風雨で船がひっくり返ったり、逆に全くの無風で何日も動けなかったり。
そんな時は、大きな天地の関わりの中で人は生かされているんだと実感します。 ちょっと調子に乗っているときに限って、ドカンとやられる。そんな自然を受け入れ、自分のバイオリズムを冷静に見極めることが大切だと痛感します。
英語は上手い下手より人間性!
広い海原ですから、レース中、ライバルたちと出会うことはありません。しかし、メールでやりとりをして、波や風の情報を教え合ったり、寄港地ではワイワイみんなで食事や小旅行を楽しんだりします。ライバルではあるけれど、命をかけた大レースをしている仲間どうし。お互い助け合うんです。
僕は、実は、英語が大の苦手。でも、こうやって港で騒いでいるうち、最後には結構、通じるようになりました。そうじゃなくて他の人の理解力が上がっただけ、という話もあって、ひとつ単語を話すと、3つくらい分かってくれるようになったフランス人のクルーもいましたけど(笑)。英語は上手い下手じゃない。分かろうとする、伝えたいとする人間性の問題です。
とはいうものの、僕も英語、少しは練習しなきゃならないのは分かってます(笑)。ヨットに英会話のテープ、持ちこんだんだけど、ちっともやらなかったな。次もちゃんとヨットに持っていってやりますよ。
ニュージーランドでスピーチ
そんな英語が苦手な僕ですが、レースで立ち寄ったニュージーランドでスピーチをすることになったんです。最初、メモを読みながらやろうとしたら、ライバルたちから、「コウジロウ、読むな!そのほうがおもしろい!」と声援?が飛んで。もうこうなったら…と、「このレースでは、あいつと、あいつを抜かしたい」なんて、ライバルたちを指差し、ジュークを交えて身振り手振りで話したら大ウケでした。
気持ちがあれば、なんとか伝わるものです。一度、耳の聞こえない人たちを前に講演をしたことがあります。もちろん、隣で通訳してくれる人がいるのですけれど、みなさん、拍手ではなく感動したときは、自分の顔の前で手のひらを左右に揺する。キラキラ星のお遊戯を小さいころやりましたが、ちょうどそんな感じです。どんな形であれ、伝えたいという感情が強ければ、ちゃんと相手に響くのだな…と思います。
生きて帰れよ!が合言葉
ほかのスポーツと違って、死と隣り合わせの競技ですから、勝ち負けの前に全員が生きて港に帰ってくることが大事なんですよね。だから、スタートのときは「Sale Safe!(安全な航海を!)」と声を掛け合います。出発前、インタビュアーがずらりと並んだトロフィーを前に、「コウジロウ!このなかのどれが欲しい?」と聞くんです。そこで、「トロフィーより、全員がまたこの港に戻る。その笑顔が一番欲しい」と、答えたら、ゴールのあと、アメリカ人のティムが、「あの時のコウジロウの言葉、航海中も忘れなかったよ」と言ってくれました。
目標はいつも前に!
次の目標は、「アラウンド・アローン」よりも過酷なレースといわれる単独世界一周レース「5-OCEANS」への挑戦です。参加するにも、資金面など厳しいことは分かっていますが、ひたすら前を見て精進する。今までもそうでしたが、自然に道が開けてきます。僕の夢を応援してくれる人のためにも、さまざまなことに、チャレンジし続けたいです。
取材後記
ユーモアを交えて熱く語る白石康二郎さんのお話にグイグイひきこまれてしまいました。ご自分のチャレンジのほか、若者にヨットを教えたり、ボランティアをしたりと、社会貢献もされています。「困難を乗り越え人生を楽しむ」力は、師匠の多田さんからしっかり受け継がれているようです。

プロフィール
ロジャー安川 白石康次郎(しらいし・こうじろう)


1967年東京生まれ鎌倉育ち。26歳で世界最年少単独無寄港世界一周を達成。1998年、横浜〜サンフランシスコ間を14日間で渡り、太平洋横断世界新記録を樹立した。世界一周レース「アラウンド・アローン」にクラスIIで出場し、2003年、4位でゴール。「僕たちに夢と勇気を…冒険者」(宝島社)、「アラウンド アローン」(以上文藝春秋社)などの著書がある。公式HPはhttp://www.kojiro.jp/

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